暗黙の微分とは、関数が与えられたときに、その関数の導関数を求めるための方法です。一般には、明示的に導関数が表現されていない関数について、暗黙の微分を用いて導関数を求めることがあります。

例えば、以下のような方程式が与えられたとします。

x2+y2=1x^2 + y^2 = 1

この方程式は、円の方程式を表しています。しかし、この方程式には yy についての明示的な表現がありません。そこで、この方程式に対して暗黙の微分を行うことで、 yy の導関数を求めます。

まず、両辺を微分します。

ddx(x2+y2)=ddx(1)\frac{d}{dx}(x^2 + y^2) = \frac{d}{dx}(1)

この式を展開すると、

ddx(x2)+ddx(y2)=0\frac{d}{dx}(x^2) + \frac{d}{dx}(y^2) = 0

となります。ここで、x2x^2 の導関数は 2x2x であり、y2y^2 の導関数は 2ydydx2y \frac{dy}{dx} です。これらを代入して、

2x+2ydydx=02x + 2y \frac{dy}{dx} = 0

となります。この式を yy について解くと、

dydx=xy\frac{dy}{dx} = -\frac{x}{y}

となります。これが、暗黙の微分によって導かれた、 yy の導関数です。

暗黙の微分は、微積分学において非常に重要な役割を持ちます。特に、微分方程式の解法において、暗黙の微分を用いて解を求めることがあります。また、物理学や工学など、実世界の問題に対して数学的なモデルを構築する際にも、暗黙の微分を用いて導関数を求めることがあります。

リンク

Implicit Differentiation[EN]