三角関数代入は、三角関数の公式を用いて積分の形を変形し、簡単な形にするために使われる方法です。具体的には、以下のような形の積分に適用されます。

R(x,ax2+bx+c)dx\int R(x,\sqrt{ax^2+bx+c})dx

ここで、RRは有理関数、a,b,ca,b,cは定数です。このような形の積分は、三角関数代入を行うことで、積分を簡単にすることができます。

まずは、ax2+bx+cax^2+bx+cの部分を、a(b2ax2+4acb24a2+b2a)2+da(\sqrt{\frac{b}{2a}x^2+\frac{4ac-b^2}{4a^2}}+\frac{b}{2a})^2+dという形に変形します。ここで、ddは定数で、d=4acb24ad=\frac{4ac-b^2}{4a}です。

すると、x=2abda(sin2t)x=\sqrt{\frac{2a}{b}}\sqrt{d-a(\sin^2t)}とおくことができます。ここで、ttは新しい変数で、0tπ0\leq t\leq \piです。

この代入を元の積分に適用すると、以下のようになります。

R(2abda(sin2t),ax2+bx+c)2abda(sin2t)costdt\int R\left(\sqrt{\frac{2a}{b}}\sqrt{d-a(\sin^2t)},\sqrt{ax^2+bx+c}\right)\sqrt{\frac{2a}{b}}\sqrt{d-a(\sin^2t)}\cos tdt

この積分に対して、三角関数の公式を用いて簡単にすることができます。例えば、da(sin2t)\sqrt{d-a(\sin^2t)}cosθ\cos\thetaとすると、sinθ=ada(sin2t)\sin\theta=\sqrt{a}\sqrt{d-a(\sin^2t)}となります。また、2abda(sin2t)cost\sqrt{\frac{2a}{b}}\sqrt{d-a(\sin^2t)}\cos txxとすると、dx=2abda(sin2t)sintdtdx=-\sqrt{\frac{2a}{b}}\sqrt{d-a(\sin^2t)}\sin tdtとなります。

これらの変形を用いると、元の積分は以下の形に変形することができます。

R(x,ab2a2sin2θ+d)dxab2a2sin2θ+ddθ-\int R(x,\sqrt{a\sqrt{\frac{b}{2a}}^2\sin^2\theta+d})\frac{dx}{\sqrt{a\sqrt{\frac{b}{2a}}^2\sin^2\theta+d}}d\theta

この式は、ab2a2sin2θ+d\sqrt{a\sqrt{\frac{b}{2a}}^2\sin^2\theta+d}ab2acosϕ\sqrt{a}\sqrt{\frac{b}{2a}}|\cos\phi|とおくことで、更に簡単にすることができます。

以上のように、三角関数代入を用いることで、複雑な形の積分を簡単にすることができます。ただし、代入することで式が複雑になる場合もあるため、適切な代入方法を選ぶ必要があります。

リンク

Integration using Trigonometric Substitution[EN]