オイラーの恒等式(Euler's identity)とは、以下のような式です。

eiπ+1=0e^{i\pi}+1=0

ここで、eeは自然対数の底(e2.71828e\approx2.71828)、iiは虚数単位(i2=1i^2=-1)を表します。

この式は、数学の中でもとりわけ美しい式とされています。なぜならば、自然対数の底、虚数単位、円周率がそれぞれ異なる数学の分野で定義されているにもかかわらず、それらがすべて1つの式で関係しているからです。

この式は、オイラーの公式(Euler's formula)から導出されます。

eix=cosx+isinxe^{ix}=\cos{x}+i\sin{x}

この公式は三角関数と指数関数を結びつけるもので、xxは任意の実数です。この公式から、x=πx=\piとすると、

eiπ=cosπ+isinπ=1e^{i\pi}=\cos{\pi}+i\sin{\pi}=-1

となります。したがって、オイラーの恒等式が成り立ちます。

この式は、数学の多くの分野で使われる重要な式です。たとえば、量子力学のシュレディンガー方程式に現れる複素数波動関数の表記において、この式が使われます。また、信号処理においても、この式を用いたフーリエ変換が重要な役割を果たします。

以上が、オイラーの恒等式についての説明です。

リンク

Euler's identity[EN]