コーシー=シュワルツの不等式とは、内積空間において定義される2つのベクトルの内積の値を用いて、その大きさを評価する不等式のことである。
以下、具体的な表現を示す。

【定義】
x,yx,yを内積空間VVの要素とする。このとき、以下が成り立つ。

x,yxy|\langle x, y\rangle| \leq \|x\| \|y\|

ここで、x,y|\langle x, y\rangle|xxyyの内積の大きさ、x\|x\|およびy\|y\|xxおよびyyのノルムである。

特に、内積空間VVが実数体R\mathbb{R}上の有限次元ユークリッド空間Rn\mathbb{R}^nである場合は、x=(x1,,xn),y=(y1,,yn)Rnx=(x_1,\dots,x_n),y=(y_1,\dots,y_n)\in\mathbb{R}^nとしたとき、以下が成り立つ。

x1y1++xnynx12++xn2y12++yn2|x_1y_1+\cdots+x_ny_n| \leq \sqrt{x_1^2+\cdots+x_n^2}\sqrt{y_1^2+\cdots+y_n^2}

この不等式は、幾何学的には、2つのベクトルの内積が、それぞれのベクトルの大きさの積の上限値となることを示している。この上限値は、内積がベクトルの大きさの積である場合にのみ達成される。

コーシー=シュワルツの不等式は、数学の様々な分野で応用される基本的な不等式であり、特に線型代数や微積分学、確率論、統計学、物理学などで頻繁に使われる。

リンク

Cauchy–Schwarz inequality[EN]