von Staudt-Clausen定理(von Staudt-Clausen Theorem)は、素数pに対し、pが分母(denominator)として現れるような有理数を全て足し合わせたものが、pで割り切れる整数であることを主張する定理である。
この定理は、1840年代にドイツの数学者カール・エドゥアルト・フォン・シュタウト(Karl Eduard von Staudt)とトマス・クラウゼン(Thomas Clausen)によって独立して発見された。それぞれの発見者は、この定理を別々に発見し、それぞれ別の論文で発表した。そのため、この定理は、von Staudt-Clausen定理として知られるようになった。
この定理の主張する内容を式で表すと以下のようになる。
pを素数とし、qを正の整数とすると、以下が成り立つ。
∑0<k<pgcd(k,p)=1k1≡0(modpq)
ここで、gcd(k,p)は、kとpの最大公約数を表す。
この定理は、有限体の数学(有限体論)において、極めて重要な役割を果たしている。特に、ヤコビ・フォン・シュタウトの公式(Jacobi-Staudt-Clausenの公式)の証明に使用される。
von Staudt-Clausen定理の別の言い方として、フェルマーの小定理の拡張版として捉えることもできる。フェルマーの小定理は、pを素数とし、aをpと互いに素な整数とすると、ap−1≡1(modp)が成り立つことを表している。von Staudt-Clausen定理は、このフェルマーの小定理を分母に拡張したものである。
参考文献:
- Ireland, K., & Rosen, M. (1990). A Classical Introduction to Modern Number Theory. Springer-Verlag.