ロピタルの定理とは
ロピタルの定理(L'Hôpital's rule)とは、微積分学において、極限として表される不定形の形式 00 や ∞∞ の場合に使われる定理である。この定理は、関数の極限を求める上で非常に便利であり、微積分学の基本定理の一つとされている。
定理
f(x) と g(x) を a の周りで微分可能な関数とし、f(a)=g(a)=0 かつ g′(a)=0 であるとする。このとき、以下の極限が成り立つ。
x→alimg(x)f(x)=x→alimg′(x)f′(x)
ただし、右辺の極限が存在する場合に限る。
注意事項
以下のような注意点がある。
- f(a)=g(a)=0 でない場合は、ロピタルの定理は使用できない。
- g′(a)=0 の場合は、ロピタルの定理は使用できない。
- 次数が一致しない形式には適用できない。その場合は、分子と分母に割り切れる項を含めることで形式を変換する必要がある。
例題
例題1
以下の極限を求める。
x→0limxsinx
解答:
微積分学において、この極限はサイン関数の導関数を用いて次のように表せる。
x→0limxsinx=x→0limcosx=1
例題2
以下の極限を求める。
x→2limx−2x2−4x+4
解答:
分母が 0 になるため、ロピタルの定理を用いることができる。
x→2limx−2x2−4x+4=x→2lim12x−4=0
例題3
以下の極限を求める。
x→0limx2+xex−1
解答:
分子と分母の次数が異なるため、この形式にはロピタルの定理を適用できない。そこで、分子と分母に x を割り込ませる操作を行う。
x→0limx2+xex−1=x→0limxex−1⋅x+11=x→0limx+1ex=1
まとめ
ロピタルの定理は、微積分学において非常に便利な定理の一つである。分母が 0 になる場合や分子と分母の次数が異なる場合に、この定理を使用して極限を求めることができる。ただし、特定の条件を満たす場合に限り使用可能であり、注意が必要である。