ベイズ推定とは

ベイズ推定とは、データ解析において事前知識を反映した確率的推論を行う手法である。ベイズ推定では、観測データを元に事前分布から事後分布を計算することで、パラメータの不確かさを考慮した推定が可能となる。

例えば、あるコインを100回投げたところ、表が60回、裏が40回出たとする。この場合、コインの表が出る確率ppを推定したいとする。確率ppが0.5であるという事前知識がある場合、ベイズ推定では以下のように表せる。

P(pデータ)=P(データp)P(p)P(データ)P(p|データ) = \frac{P(データ|p)P(p)}{P(データ)}

ここで、P(pデータ)P(p|データ)は事後分布、P(データp)P(データ|p)は尤度関数、P(p)P(p)は事前分布、P(データ)P(データ)は周辺尤度である。これらを順に説明していく。

尤度関数

尤度関数は、パラメータppが与えられた下で、データが得られる確率密度関数である。先程の例においては、p=0.5p=0.5のときに、表が60回、裏が40回出る確率を示す。多くの場合、尤度関数は確率分布関数の形をしている。

事前分布

事前分布は、観測データを得る前に、パラメータppに関する確率分布を与える。事前分布は、事前知識、仮説、推定の安定性などを考慮して決定される。例えば、先程の例においてppが0.5であるという事前知識がある場合、事前分布は一様分布となる。

事後分布

事後分布は、観測データを考慮した後のパラメータppに関する確率分布である。観測データが与えられた下で、事前分布に尤度関数をかけたものを正規化したものが事後分布となる。事後分布は、パラメータ推定に対する不確かさを表す指標として用いられる。

周辺尤度

周辺尤度は、観測データが与えられた下で、パラメータがどのような値をとっても必ず観測データが得られる確率を表す。周辺尤度は、事後分布を正規化するために用いられる。

ベイズ推定の利点

ベイズ推定の利点は以下の通りである。

事前知識の反映

ベイズ推定では、事前知識を確率分布として表現することができる。これにより、データが少ない場合でも、事前知識を考慮することでより正確な推定が可能となる。

不確かさの考慮

ベイズ推定では、パラメータの推定値だけでなく、パラメータの不確かさも表現することができる。これにより、推定値の信頼性を評価することができる。

柔軟性の高さ

ベイズ推定では、事前分布を自由に選択することができる。これにより、データに適した事前分布を選択することができる。

まとめ

ベイズ推定は、事前知識を反映した推定が可能なデータ解析手法である。事前分布、尤度関数、周辺尤度から事後分布を計算することで、パラメータの推定値だけでなく、不確かさも評価できる。ベイズ推定は、データが少ない場合や、パラメータの信頼性を評価する場合に有用である。

リンク

Bayesian Inference[EN]