内積(ベクトル)
内積とは、2つのベクトルの間に定義される演算のことです。ベクトル同士の角度や、そのベクトル同士がどの程度似ているかを求める場合に利用されます。内積を求めることで、ベクトル同士の関係性を数値的に表現することができます。
定義
2つのベクトル a=⎝⎛a1a2⋮an⎠⎞ と b=⎝⎛b1b2⋮bn⎠⎞ の内積は以下のように定義されます。
a⋅b=a1b1+a2b2+⋯+anbn=i=1∑naibi
ここで、ai と bi はそれぞれ a と b の i 番目の成分です。
幾何学的な意味
内積には、幾何学的な意味もあります。2つのベクトル a と b の内積 a⋅b は、以下の式で表されます。
a⋅b=∥a∥∥b∥cosθ
ここで、∥a∥ と ∥b∥ はそれぞれベクトル a と b の大きさ(ノルム)であり、θ は a と b のなす角度です。
この式から、a と b が互いに垂直である場合、すなわち θ=2π の場合、内積は 0 になることがわかります。一方、a と b が同じ方向を向いている場合、すなわち θ=0 の場合、内積は ∥a∥∥b∥ に等しくなります。
内積の性質
内積には以下のような性質があります。
交換法則
a⋅b=b⋅a
分配法則
a⋅(b+c)=a⋅b+a⋅c
スカラー倍
k(a⋅b)=(ka)⋅b=a⋅(kb)
ここで、k はスカラーです。
応用例
内積は、様々な数学や物理学の分野で利用されます。以下にいくつかの応用例を挙げます。
ノルムの計算
ベクトルの大きさ(ノルム)は、内積を用いて以下のように計算できます。
∥a∥=a⋅a
ベクトルの類似度
2つのベクトルがどの程度似ているかを表す指標として、内積が利用されます。2つのベクトル a と b の類似度(コサイン類似度)は以下のように定義されます。
cosθ=∥a∥∥b∥a⋅b
直交性
内積が 0 であることは、2つのベクトルが互いに垂直であることを示します。この性質を利用して、直交座標系の構成や、直交多項式の定義などが行われます。
まとめ
内積は、2つのベクトルの間に定義される演算であり、ベクトル同士の角度や、そのベクトル同士がどの程度似ているかを求める場合に利用されます。内積には、幾何学的な意味があり、内積を用いることで、ベクトル同士の関係性を数値的に表現することができます。また、内積は様々な分野で利用される重要な演算です。
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