状態空間モデルとは、時間的に連続的な状態量があるシステムを数学的にモデル化する手法である。状態空間モデルは主に、信号処理、制御工学、経済学、気象予測などの分野で利用されている。
状態空間モデルは、システムの「状態」が時間とともにどのように進化するかを記述する。システムの状態は観測できない場合が多いため、これらの状態を「潜在状態」と呼ぶ。
状態空間モデルは以下のような数式で表される。
xtyt=Ftxt−1+wt=Htxt+vt
ここで、xtはt時点での状態量、ytはt時点での観測量、Ftは状態量の時間的な変化を表す遷移行列、wtは状態量の遷移に伴う誤差、Htは状態量から観測量への線形変換を表す観測行列、vtは観測量の誤差である。また、x0は初期状態、wtとvtは正規分布に従う誤差と仮定される。
状態空間モデルにおいて、目的は観測量から状態量を推定することである。具体的には、観測量ytから状態量xtを推定するために、条件付き確率分布p(xt∣y1:t)を求めることが目的となる。ここで、y1:tはt時点までの観測量を表す。
状態空間モデルには、カルマンフィルター、カルマン平滑化、パーティクルフィルターなどの推定手法が存在する。これらの手法を用いることで、状態量の推定や予測が可能となる。
状態空間モデルは、非常に汎用性が高いモデルであり、多様な分野で利用されている。特に、観測量に対して多くの情報を持つときに有効な手法である。