バーゼル問題とは、スイスのバーゼル市で開催された数学会議において、数学者のレオンハルト・オイラーが1735年に提起した問題である。

この問題は、自然数の2乗の逆数の総和が収束するかどうかというものである。具体的には、以下の式が成り立つかどうかを調べる問題である。

n=11n2=1+122+132+142+\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{4^2}+\cdots

この問題は、当時の数学者たちによって熱心に研究され、多くの試みがなされた。しかし、その後200年以上もの間、この問題は解決されずにいた。

その後、19世紀に入ってから、この問題は厳密な証明がなされた。スイスの数学者エミール・ボレルは、この問題が収束することを証明し、ドイツの数学者フェルマーによって示された解法に基づいて、この問題を解決した。

この解法は、フェルマーによって示された解法を発展させたものであり、今日でも広く知られている。具体的には、以下のような証明がなされている。

まず、自然数の2乗の逆数の総和をSとおくと、

S=1+122+132+142+S=1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{4^2}+\cdots

となる。ここで、nが自然数であるとき、以下の不等式が成り立つ。

1(n+1)2<1n(n+1)\frac{1}{(n+1)^2}<\frac{1}{n(n+1)}

この不等式を用いると、

1n(n+1)=1n1n+1\frac{1}{n(n+1)}=\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}

が成り立つため、

1(n+1)2<1n1n+1\frac{1}{(n+1)^2}<\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}

となる。両辺を足し合わせると、

n=1(1n1n+1)=1\sum_{n=1}^{\infty}\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\right)=1

となる。ここで、n=1からmまでの各自然数に対して、上式の左辺を計算すると、

n=1m(1n1n+1)=112+1213+13+1m11m\sum_{n=1}^{m}\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\right)=1-\frac{1}{2}+\frac{1}{2}-\frac{1}{3}+\frac{1}{3}-\cdots+\frac{1}{m-1}-\frac{1}{m}

となり、部分和の項が打ち消しあって、

Sm=11mS_m=1-\frac{1}{m}

という式が得られる。さらに、この式を用いて、

SSm=1(m+1)2+1(m+2)2+1(m+3)2+S-S_m=\frac{1}{(m+1)^2}+\frac{1}{(m+2)^2}+\frac{1}{(m+3)^2}+\cdots

を計算すると、

SSm<1m(m+1)S-S_m<\frac{1}{m(m+1)}

が成り立つことがわかる。この式をmm\to\inftyの極限で考えると、

S=n=11n2=1+122+132+142+S=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^2}=1+\frac{1}{2^2}+\frac{1}{3^2}+\frac{1}{4^2}+\cdots

が収束することが示される。

このようにして、バーゼル問題は解決された。この問題は、自然数の2乗の逆数の総和がπ²/6に等しいことを示すことにも関係しているため、多くの応用がある問題である。

リンク

Basel problem[EN]