ゲーム理論とは、競争や協力などの相互作用をする人々の意思決定を理論的に分析する学問分野である。ゲーム理論は経済学、政治学、心理学、数学などの分野で応用され、最適な意思決定をする手法や、競争・協力関係の変化についての予測を行うツールとして広く利用されている。

ゲーム理論では、プレイヤーと呼ばれる意思決定主体が、相手プレイヤーの行動を予測しながら自身の行動を決定すると仮定する。このような状況をゲームと呼び、ゲーム理論ではゲームの種類をいくつか定義している。

代表的なゲームとして、囚人のジレンマ (PD) が挙げられる。PDゲームは、2人のプレイヤーが独立して同時に行動を決定するゲームであり、それぞれが「告白する」か「口をつぐむ」かを選ぶ。PDゲームにおいて、両者が口をつぐむ場合は両者にとって最善の結果が得られるが、片方が告白し、もう一方が口をつぐむ場合、告白したプレイヤーは自由の身となって有利になり、口をつぐんだプレイヤーは重い刑罰を受ける。両者が告白する場合、両者にとって最悪の結果が得られる。PDゲームは、協力し合うことが最適戦略であるにも関わらず、相手の行動によっては自己防衛のために裏切ることが有利になるという背反的な状況を示している。

ゲーム理論では、このようなゲームにおいて最適な戦略や平衡解を求めることができる。PDゲームにおいては、両者が裏切ることを前提とするナッシュ均衡が存在し、これが最適な戦略となる。また、一方が告白し、もう一方が口をつぐむ場合は、告白したプレイヤーが有利になるが、相手が告白することを予期した場合、口をつぐむことが有利になる。このような状況において、両者が口をつぐむことがナッシュ均衡となる。

ゲーム理論は、ビジネスや政治の分野でも応用されている。企業間の競争や、政治家の意思決定においては、相手の行動を予測しながら自身の戦略を決定することが求められる。これらの分野においても、ゲーム理論が有用なツールとして活用されている。

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Game theory[EN]