数論とは、数学の分野の一つであり、自然数や整数、有理数、代数的数、超越数などについての性質や法則を研究する学問です。古くから研究されており、数学の中でも特に基礎的な分野とされています。
数論には、代数的数論、幾何的数論、解析的数論、組合せ的数論など多岐にわたる分野がありますが、ここではその中でも代表的なものを紹介します。
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素数と素因数分解
素数とは、1より大きい自然数で、1とその数自身以外の約数を持たないものを言います。例えば、2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19...が素数です。また、任意の自然数は、素数の積で表すことができます。例えば、36は2×2×3×3と表すことができます。このように、自然数を素因数分解することは、数論の基礎的な問題の一つです。 -
同余式と剰余類
同余式とは、ある自然数aとbについて、aとbの差がある自然数nの倍数であるとき、a≡b(mod n)と表すことができます。このように、同じ剰余を持つ自然数の集合を剰余類といい、nを法とする剰余類のうち、0, 1, 2, ..., n-1のn個を取り出したものを剰余類の代表系といいます。例えば、7を法とする剰余類の代表系は、{0, 1, 2, 3, 4, 5, 6}です。 -
フェルマーの小定理とオイラーの定理
フェルマーの小定理とは、pを素数、aをpの倍数でない自然数とするとき、a^(p-1)≡1(mod p)が成り立つという定理です。オイラーの定理は、aとmが互いに素な自然数であるとき、a^φ(m)≡1(mod m)が成り立つという定理で、φ(m)はオイラーのトーシェント関数と呼ばれます。 -
ディオファントス方程式
ディオファントス方程式とは、x,y,zなどの変数が整数であるような方程式のことで、一般に解析的な手法は存在しません。しかし、特別な場合には有限体積の原理やペルの方程式などの手法を用いて、解を求めることができます。 -
素因数分解法に基づく暗号
素因数分解法に基づく暗号として有名なのが、RSA暗号です。RSA暗号は、2つの素数p,qを選び、それらの積nと、nと互いに素な数eを公開鍵として、任意のメッセージを暗号化します。このとき、p,qを復元することが困難であることに基づいて、RSA暗号は非常に強力な暗号方式として実用化されています。
以上が数論の代表的な分野や応用例についての紹介です。数論には、これらの分野だけでなく、解析数論、加法的数論、類体論など、膨大な分野が存在します。今後も数論は、暗号理論やエラトステネスの篩などの応用も含め、数学の基礎的な分野として、広く研究され続けることでしょう。