二項定理とは

二項定理とは、以下のような式で表される数学の公式である。

(a+b)n=k=0n(nk)ankbk(a+b)^n = \sum_{k=0}^n\binom{n}{k}a^{n-k}b^k

ここで、aabbnnは任意の実数であり、(nk)\binom{n}{k}nn 個の要素から kk 個の要素を選ぶ組み合わせの数を表す二項係数である。二項係数は次式で表される。

(nk)=n!k!(nk)!\binom{n}{k}=\frac{n!}{k!(n-k)!}

n!n!nn の階乗を表し、nn から 11 までの自然数をすべて掛け合わせたものである。

この公式は、多項式の積を展開する場合にしばしば用いられる。

二項係数の性質

二項係数には以下のような性質がある。

  • (nk)=(nnk)\binom{n}{k} = \binom{n}{n-k} である。
  • (n0)=(nn)=1\binom{n}{0} = \binom{n}{n} = 1 である。
  • (nk)=(n1k)+(n1k1)\binom{n}{k} = \binom{n-1}{k} + \binom{n-1}{k-1} である。これをパスカルの三角形と呼ばれる三角形に表すと、以下のようになる。
1 1 1 1 2 1 1 3 3 1 1 4 6 4 1 ...

二項定理の応用例

組み合わせの総数を求める

nn 個の異なるものから kk 個選ぶとき、その組み合わせの総数は二項係数 (nk)\binom{n}{k} となる。

例えば、10個のボールから3個選ぶ場合の総数は、以下のように求めることができる。

(103)=10!3!(103)!=120\binom{10}{3}=\frac{10!}{3!(10-3)!}=120

パスカルの三角形の展開

nn 項の多項式 (a+b)n(a+b)^n を展開すると、係数がパスカルの三角形になる。

例えば、(a+b)3(a+b)^3 を展開すると、

(a+b)3=(30)a3+(31)a2b+(32)ab2+(33)b3(a+b)^3 = \binom{3}{0}a^3 + \binom{3}{1}a^2b + \binom{3}{2}ab^2 + \binom{3}{3}b^3

となり、係数がパスカルの三角形になっている。また、(a+b)4(a+b)^4(a+b)5(a+b)^5 なども同様に展開することができる。

確率の計算

二項分布という確率分布に二項定理が応用される。例えば、ある事象が起こる確率が pp である試行を nn 回行った場合、その事象が kk 回起こる確率は以下のように求められる。

P(k)=(nk)pk(1p)nkP(k) = \binom{n}{k}p^k(1-p)^{n-k}

この確率分布は、コイン投げやサイコロの振りなどの試行において、特定の事象が何回起こるかを求める場合に用いられる。

まとめ

二項定理は多項式の展開に応用される公式であり、二項係数がパスカルの三角形になることや、二項分布の確率分布に応用されることがある。また、組み合わせの総数を求める際にも用いられる。

リンク

binomial theorem[EN]