選択公理(せんたくこうり、英: Axiom of Choice)とは、集合論における公理の一つである。この公理は、無限に存在する集合から、それぞれ一つずつ要素を選択することができるということを表す。選択公理を用いることで、複数の集合から要素を選択する操作を簡単に行うことができる。

以下に、選択公理の数学的表現を示す。

選択公理:任意の集合 XX の任意の部分集合 AA に対して、AA の元から一つずつ選んだ集合 BB が存在する。

この公理は、19世紀のドイツの数学者フェルディナント・ゲオルク・フロベニウスによって最初に提唱された。しかし、選択公理は直感的には自明であるように思われるが、受容されるまでには長い議論があった。

選択公理は、現代数学において非常に重要な公理の一つである。この公理を用いることで、様々な問題が解決されてきた。例えば、集合を完全に比較することができることが知られているが、有限集合に限ればこれは自明である問題に対して選択公理を用いることで、無限個の集合にも拡張することができる。

ただし、選択公理は無限個の集合から要素を選択する場合にしか用いることができず、有限個の集合から要素を選択する場合には別の方法が必要である。また、選択公理を用いることで、非常に奇妙な集合が構成されることが知られている。

選択公理は、他の公理系との矛盾が生じることがあり、特定の数学の分野では選択公理を用いない公理系が採用されることがある。しかし、現代数学においては選択公理が受け入れられ、多くの分野で用いられている。

リンク

axiom of choice[EN]