測度論とは、集合に対して「大きさ」を定義する理論である。この理論は、物理学、経済学、確率論、統計学などの分野で幅広く応用されている。

測度論は、測度と呼ばれる関数を用いて集合の大きさを定義する。ここでいう測度とは、集合に対して実数値を対応させる関数であり、以下の3つの条件を満たすものを指す。

  1. 空集合の測度は0である。
  2. 全ての集合に対して、非負の実数値を測度として与えることができる。
  3. 可算加法性を満たす。つまり、互いに素な可算個の集合の和集合の測度は、それぞれの集合の測度の和に等しい。

一般に、測度論で扱う集合は、Borel集合と呼ばれるものである。Borel集合とは、開集合と閉集合の共通部分として表わされる集合のことである。例えば、開区間(a,b)(a,b)や閉区間[a,b][a,b]、その両端を含まない半開区間(a,b](a,b]などは、Borel集合である。

測度論には、様々な種類の測度が存在する。代表的なものとして、ルベーグ測度、ルベーグ・スティルチェス測度、Borel測度、Lebesgue-Stieltjes測度などがある。それぞれの測度は、定義される測度空間によって異なる性質を持つ。

測度論の基本的な定理として、ルベーグの拡張定理がある。この定理は、有限加法的測度から可算加法的測度を構成する方法を提供するものである。有限加法的測度とは、有限個の集合の和集合に対して定義される測度のことである。ルベーグの拡張定理によって、有限加法的測度を拡張して可算加法的測度を構成することができる。

測度論は、集合の大きさを定義するための理論であるが、その応用は集合論や位相空間論にも及ぶ。例えば、ルベーグ測度は、可測関数や積分論において重要な役割を果たしている。また、トポロジー空間上の測度や確率測度など、測度論の応用は多岐にわたる。

リンク

Measure theory[EN]