ファジーロジックとは、不確実性や曖昧さを扱うために開発された数学理論であり、特に制御工学や人工知能の分野で広く利用されています。
ファジーロジックは、従来の2値論理では表現しきれない「あいまいな」情報を扱うことができます。例えば、ある物体の温度を「暑い」「寒い」といった2値論理で表現するのではなく、「少し暑い」「やや寒い」といった程度を表すことができます。このような表現は、人間が日常的に行っている判断や判定に近いものであり、ファジーロジックは機械が人間に近い判断を行えるようにするための有力な手段となっています。
ファジーロジックは、通常の論理演算子(AND,OR,NOT)に加え、ファジー演算子(ファジーAND,ファジーOR,ファジーNOT)を用いて処理を行います。ファジー演算子は、2値論理の場合と異なり、真偽値を0〜1の連続した値で表現します。例えば、ファジーANDの場合、2つの入力値を掛け合わせることで出力値を得ます。この時、入力値が0に近いほど出力値も0に近づき、入力値が1に近いほど出力値も1に近づきます。このように、ファジーロジックは連続した値を扱うことができるため、より現実的な表現が可能となります。
ファジーロジックは、制御工学の分野では、不確実性を持つシステムの制御に応用されます。例えば、車両のブレーキ制御や、エアコンの温度制御など、人間の判断に近い制御が必要な場合に有効です。また、人工知能の分野では、ファジーロジックを用いて、画像認識や音声認識などの問題に取り組む研究が行われています。
最近では、深層学習などの技術が注目されていますが、ファジーロジックも引き続き重要な数学理論の一つとして、様々な分野で活用されていることがわかります。