知識工学とは、人工知能や知識処理の分野において、知識の表現・獲得・利用・維持を研究する学問分野です。知識工学は、人工知能の中でも、特に専門的な知識を処理するための仕組みの設計・構築を目的とした研究分野として位置付けられます。

知識工学は、人間が持つ知識を機械的に表現することで、人工知能の発展に貢献しています。簡単な例で説明すると、人間が「猫はふわふわしている」という知識を持っている場合、機械的には「猫」という概念と「ふわふわしている」という属性を対応付けることができます。このように、知識工学では、機械が人間のように知識を処理し、自律的に判断できるようにすることが目的となります。

知識工学の分野では、知識の表現方法や知識獲得手法、推論方法などが研究されています。知識の表現方法には、ルールベース、フレームベース、オントロジーなどがあります。ルールベースは、IF-THENルールを利用して知識を表現する方法です。フレームベースは、オブジェクト指向プログラミングの考え方を応用し、知識を「枠組み」として表現する方法です。オントロジーは、概念とその関係を体系的に表現するための枠組みです。

知識獲得手法には、人手によるルールの作成、機械学習、自然言語処理などがあります。推論方法には、論理推論、ベイジアンネットワーク、ファジィ論理などがあります。

知識工学は、医療やビジネス、ロボット工学などの分野で応用されています。例えば、医療分野では、病気の診断や治療の意思決定に知識工学が利用されます。ビジネス分野では、商品の推薦や顧客分析に利用されます。ロボット工学分野では、自律的な動作や知能の実現に利用されます。

また、今後はIoT技術の発展に伴い、センサーなどから取得されるデータを解析し、知識を獲得することが求められるようになると予想されます。そのため、知識工学の研究はますます重要になっていくことでしょう。

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Knowledge Engineering[EN]