ニューラル機械翻訳(Neural Machine Translation, NMT)とは、人工知能の一種であるニューラルネットワークを用いて、自然言語の翻訳を行う技術のことです。

従来の機械翻訳は、言語の文法や辞書を基に単語や文を置き換えることで翻訳を行っていました。しかし、この方法では文脈や表現のニュアンスを捉えることができず、翻訳品質が低くなる問題がありました。そこで、近年ではニューラルネットワークを用いたニューラル機械翻訳が注目されています。

ニューラル機械翻訳は、大量の言語データを学習することで、入力言語と出力言語の対応関係を学習します。具体的には、入力文を単語や文字の系列として処理し、それをエンコーダーと呼ばれるニューラルネットワークに入力します。エンコーダーは、入力文の意味表現を把握し、固定長のベクトルに変換します。そして、そのベクトルをデコーダーと呼ばれる別のニューラルネットワークに入力し、出力文の単語や文字の系列を生成します。

ニューラル機械翻訳は、単純な置換ではなく、文脈やニュアンスを捉えた翻訳が可能であり、翻訳品質が大幅に向上しました。また、複数の言語間の翻訳も可能であり、高度な多言語翻訳が実現されるようになっています。

ただし、ニューラル機械翻訳にはいくつかの問題もあります。例えば、学習に必要な大量のデータが必要であることや、言語間の類似性が高い場合には翻訳品質が低下することなどが挙げられます。

今後は、より高度なニューラルネットワークの技術が発展することで、翻訳品質がさらに向上することが期待されています。

リンク

Neural Machine Translation[EN]