自然対数とは、ネイピア数 ee を底とする対数のことを言う。自然対数は、物理学や工学など多くの分野で応用され、特に微積分や微分方程式などで重要な役割を持っている。

自然対数の定義式は以下の通り。

lnx=1x1tdt\ln{x}=\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt

つまり、11からxxまでの積分を求めることで、eeを底とする対数を求めることができる。この式は、x=ex=eのときにlne=1\ln{e}=1となることから、eeを底とする対数と呼ばれるようになった。

自然対数は、次のような性質を持っている。

  1. ln1=0\ln{1}=0:自然対数の底となるeeの1乗は1に等しいため、自然対数の値が0となる。
  2. lne=1\ln{e}=1:自然対数の定義式から、x=ex=eのときにlne=1\ln{e}=1となる。
  3. lnx\ln{x}xxが正の値を取る限り、単調増加する:自然対数の定義式から、xxが増加すると1t\frac{1}{t}も増加するため、lnx\ln{x}も増加する。
  4. lnxy=lnx+lny\ln{xy}=\ln{x}+\ln{y}:自然対数の定義式から、lnx+lny=1x1tdt+1y1tdt=1x1tdt+xxy1tdt=1xy1tdt=lnxy\ln{x}+\ln{y}=\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt+\int_{1}^{y}\frac{1}{t}dt=\int_{1}^{x}\frac{1}{t}dt+\int_{x}^{xy}\frac{1}{t}dt=\int_{1}^{xy}\frac{1}{t}dt=\ln{xy}となる。

自然対数は、微積分や微分方程式などでよく使われる。特に、微積分の基本定理から導かれる指数関数の微分公式において、自然対数が重要な役割を担っている。また、自然対数は確率論や統計学でも頻繁に登場し、特に正規分布の導出において重要な役割を果たしている。

リンク

Natural logarithm[EN]