線形代数について
線形代数(せんけいだいすう)は、代数学の一分野であり、多くの数学的理論や科学技術において基本的な役割を果たす。線形代数では、線形空間、行列、線型写像、固有値などを扱う。
線形空間
線形空間とは、加法やスカラー倍を定義した集合であり、以下のような性質を持つものである。
- 加法に関して、結合則・交換則・単位元・逆元が成り立つ。
- スカラー倍に関して、結合則・分配則・単位元が成り立つ。
線形空間は、ベクトル空間とも呼ばれる。実数や複素数の集合が線形空間として扱われることが多いが、他の数の集合や関数の集合なども線形空間として扱われる場合がある。
行列
行列とは、数値を矩形状に並べたものである。m行n列の行列はm×n行列と呼ばれる。行列に対して、加法やスカラー倍を定義することができる。また、行列同士の積を定義することもできる。行列の積は、左側の行列の列数と右側の行列の行数が等しい場合に定義される。
線型写像
線型写像とは、線形空間から線形空間への写像であり、以下のような性質を持つものである。
- 加法に関して、f(x+y) = f(x) + f(y)が成り立つ。
- スカラー倍に関して、f(αx) = αf(x)が成り立つ。
線型写像は、行列と密接に関連している。線型写像が与えられた場合、その行列表現を求めることができる。また、行列が与えられた場合、その行列が表す線型写像を求めることができる。
固有値と固有ベクトル
線型写像fに対して、f(x) = λxを満たすスカラーλと、λに対応するベクトルxが存在する場合、xをfの固有ベクトル、λをfの固有値と呼ぶ。固有ベクトルは、線型写像によって伸縮される方向を表す。固有値は、線型写像によって伸縮される強さを表す。
固有値と固有ベクトルは、行列に対しても同様に定義される。行列に対する固有値や固有ベクトルは、行列の性質を調べるために重要な役割を果たす。
応用
線形代数は、物理学、工学、経済学、心理学などの分野で広く応用されている。例えば、線型方程式を解くことは、さまざまな現象を数学的にモデル化するために不可欠である。また、画像処理や音声処理においても、行列や線型写像が重要な役割を果たしている。