数学的帰納法
数学的帰納法とは、ある性質が自然数全体について成立することを示すための証明法の一つである。帰納法とも呼ばれる。
具体的には、以下の2つのステップで構成される。
- 「基底部」の証明:最初の自然数(例えば、n=1)について、性質が成立することを証明する。
- 「帰納部」の証明:自然数 n=k について、性質が成立すると仮定して、 n=k+1 についても性質が成立することを証明する。
これにより、「基底部」の証明ができれば、 n=1 で性質が成立することが分かり、それと「帰納部」の証明を繰り返すことで、全ての自然数で性質が成立することが示される。
具体例として、自然数 n に対して、 1+2+⋯+n=2n(n+1) が成り立つことを示す。
基底部の証明
n=1 の時、左辺は 1 であり、右辺は 21(1+1)=1 となる。よって、等式が成立する。
帰納部の証明
自然数 n=k について、 1+2+⋯+k=2k(k+1) が成り立つと仮定する。このとき、自然数 n=k+1 の場合を考える。
1+2+⋯+k+(k+1)=2k(k+1)+(k+1)=2k(k+1)+2(k+1)=2(k+1)(k+2)
ここで、帰納法の仮定を用いた。よって、自然数 n=k+1 の場合も式が成り立つ。
以上より、初めに「基底部」の証明をし、「帰納部」の証明を繰り返すことで、 1+2+⋯+n=2n(n+1) が自然数全体について成立することが示された。